物乞いの様な目をした、ネットワークビジネスの女

投稿日:2018/03/13 更新日:

机の上には契約書が置かれ
あとはサインをするだけの状態。

本当に心から良いと思えたら
サインをしようと思って
いくつか質問しようとするのだが
その女は話をさえぎり

「サイン!」

「ここに、サインを!」

と、何度もサインを求めて来る。

何とか質問をしたのだが、
まともな返事が帰ってこない。

「メリットは、~だと思います。」

「予想では、~になるはずです。」

具体的な数字が出ず、あやふやな回答の数々。

そのため断ろうとしたのだが、

顔を上げ、その女の目を見たとたん
思わずひるんでしまった。

まるで、

『インドへ行った時に出会った、物乞いの様な目』

をしていたからだ。

少し前までは、いい人だったはずなのに...

そこから全てが狂った。

 

 

Facebookで知り合った、「リア充」そうな女性

サラリーマンを辞めて自分の仕事を持つと
昔とは付き合う人が変わり
同じ通販事業やネットビジネス関連などの
起業した人たちの知り合いが増えた。

起業当時は、

『人脈が大切』

と、勘違いしていたため
高額のセミナーに参加したり
異業種交流会に参加したりして
起業家たちが集まる場に良く顔を出していた。

だが、結果的にこれらは失敗に終わった。

サラリーマンの世界を抜け出し
弱肉強食の世界で生き抜いてきた人たちは
ガツガツした人が多く
昔から人に合わせて生きてきた僕にとっては
あまり居心地がいい場所では無かった。

「僕の居場所では無いな...」

と、感じ始めてからは
ほぼ一人で仕事をできることだけに専念し
半年近く、ほとんど誰にも会わない日々が続いた。

その半年は、アメリカやヨーロッパの都市を
一人旅したり、部屋にこもって海外ドラマを
一気に見たりして自分のペースで過ごしていた。

そんなある日、

Facebookを通して知り合った女性から
連絡が来た。

普段は、連絡が来ても断るのだが
実家が近いのと、Facebookのページを見て
趣味が合いそうだと言う理由で
会ってみることに決めた。

半年ほど、ほとんど人と会っていない
ということも大きかったのだが。

 

 

何かの勧誘ということは分かっていたのだが...

当日は、ビジネスパートナーという男性と3人で食事をした。
その人たちも、よく海外へ行くという事と
健康志向ということもあって、話は弾んだ。

そして、メインの話が始まったのだが
健康食品のセミナーの誘いだった。

いわゆる、健康食品の

『ネットワークビジネス』

だった。

有名企業の立ち上げに関わった人が

代表を務め、その人がセミナーをするらしい。

面白そうだと思ったのと、
この日は時間があったので行ってみることにした。

 

 

結局、契約書にサインを...

高学歴、大企業などの肩書を持つ
代表のセミナーが始まった。

自社商品に関する事以外にも
自己啓発的な内容も話していた。

最初のうちは警戒心を持ち
客観的に話を聞くことが出来た。

だが、このセミナーは約3時間も続き
椅子に座っているだけでも疲れて
頭がボーっとしてきた。

さらに、盛り上がる信者の様な人たちの
雰囲気に飲まれて、段々思考能力が低下した。

周りを見渡すと、近くの席にいた人たちが
どんどんと契約をしていく。

そして、徐々に

「健康に良いなら1ヶ月だけ、試してみようかな。」

という気分になってきた。

そんな中、契約の話をされ冒頭のシーンの様な
まるで、

『物乞いの様な目』

に動揺してしまい、思わず契約書に
サインをしてしまった。

 

 

健康セミナーのはずが、結局は「稼げる」がメインテーマに

その場では、思わず契約をしてしまったのだが
家に帰り、すぐにクーリングオフをした為
事なきを得た。

正直に言ってしまえば、クーリングオフという
制度がある以上、無理やりサインを強要しても
まともな人は離れ、残るのはそういう事に
気がつかない人たちが残り、似たもの通しが集まる。

本当、そんな集団には関わりたくないと思ってしまう。

そして冷静になって、一日の出来事を思い返してみた。

よく考えると、健康に関するセミナーと
聞かされていたのだが、実際にセミナーに
参加してみると、内容は全く違った。

具体的な健康の話題はほとんど無く
健康になれる自社商品の紹介と
自己啓発的な発言のみ。

100人近く集まった、まるで
信者の様な人たちは皆、盛り上がっていたのだが...

どうやらこの集団は
高学歴、大企業などの『肩書』に
弱い人たちが集まっているらしい。

よく思い返してみれば、僕を勧誘している
男女もレストランでは

「あの芸能人のお母さんと友達なんですよ」

とか、

「その雑誌のモデルと仲がいいんです」

とか、

「僕の愛車はBMWなんです」

こんな事を話していたのを思い出した。

さらに、代表の事を

「代表は、大企業出身で世界中を良くするために...」

の様な事も言っていた。

だが、実際にこのセミナーで強調
していた事といえば、

「今加入すれば、儲かります!」

だった。

そのせいか、下の人達もみんな、健康の話ではなく
お金の話がメイン。

何とも残念な集団だ。

 

 

人間の汚い部分に絶望

こういう、嫌な事がある度に最悪な気分になる。

一見良さそうな人が、豹変した時などは
特にこたえる。

一時的な感情の変化ならまだ良いのだが、

「この世の中には、嫌な人しかいない」

という思いが強くなってしまい
将来に希望が持てなくなり、絶望し

モチベーションが下がった挙句、
今まで頑張って続けてきた習慣が途切れる。

これが一番、困る。

今まで、何度も詐欺や嫌がらせなどに合ってきてせいか
以前より、立ち直りは早くなったものの
用心しなくては、と思わせる出来事だった。

 

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